【傾聴の癒しの力】ただ聴いてもらうだけで心が回復していく|文学作品の中にあった実例「ヘッセ=シッダールタ」「エンデ=モモ」

2024年5月9日

誰かに話しを聞いてもらって気持ちが落ち着いた経験はないですか?
特に何かアドバイスをもらったり 慰めの言葉をかけてもらったりしなくても
ただ 聞いてもらうだけで 人はなぜか癒されるものです
今回は そんな聞いてもらうことからの癒しの効果のついて深く考えていきます
コーチングではこの現象を「全方位的傾聴」と呼びます
【コーチング傾聴の奥深い心理学】1on1で聴いてもらうだけで問題が解決し勇気をもらうコーチングの奥義
ここでは有名な文学作品の中に登場する傾聴のパワーの実例をご紹介します
ヘッセの『シッダールタ』とミヒャエル・エンデの『モモ』です

ミヒャエル・エンデ『モモ』に登場するモモの傾聴のパワー

エンデの有名な作品『モモ』の中にはこんなくだりがあります
主人公の家なし子モモのところには、様々な人が訪れます。
困ったことがあったらモモのところにいってごらん、と近所の人は言います。
しかしモモが何かアドバイスするなんてことはありません

彼女はじっと坐って注意深く聴いてるだけです。その大きな黒い目は相手をじっと見つめています。
すると相手には
自分のどこにそんな(素晴らしい)ものが潜んでいたのかと驚くような
考えがすうっと浮かび上がってくるのです。
モモに話を聞いてもらっていると 
急に自分の意思がはっきりして来ます。
急に目の前が開け勇気が出てきます。
希望が湧いてきます。

『モモ』ミヒャエル・エンデ著大島かおり訳

モモのような存在が

身近にいる人は素晴らしい体験ができますね

ヘルマン・ヘッセの小説に登場する「傾聴」の癒しの力

この傾聴の癒しの効果を示すものとして、
私はよくヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』の一節を紹介しています。

「この傾聴者(聞いてくれる人)に自分の心の傷を示すのは、

傷を川にひたし 川と一つにするのと同じことだ」

シッダールタは思った、

「自分の話を傾聴しているのはもはや人間ではない、

身動きもせずに傾聴しているこの人は、

木が雨を吸い込むように自分の悲しみと後悔を吸い込んでいる。

身動きもせぬこの人は川そのものであり、神そのものであり、永遠そのものであった・・・」

彼は傾聴者になりきり傾聴に没頭していた

シッダールタは耳を澄ました。

彼は傾聴者になりきり、傾聴に没頭しきった。

ひたすらに吸い込みながら。彼は今や傾聴を究極まで学んだ。

ヘッセ「シッダールタ」高橋健二訳

傾聴というのは話す側にとって大いなる癒しになる、

話すだけで癒されるということなのであり、

加えて

話すうちに多くの気づきを得るものである、

そのようにヘッセも書いているわけです。

たとえば 大自然の中に入ることも
自然から傾聴してもらっているのですね。
山に入り川のせせらぎを聞いたり
海にいって波の寄せては返すさまをただ眺めていたりすると、
自然は何も語らないのに、
人は多くの癒しと気づきを得ることができます。

傾聴を極めると

それは聞き方の技術ではなく

コミュニケーションの技術ですら なくなり

人格そのものの問題となるのです

瞑想とは宇宙が自分を聴いてくれること!|自分が宇宙の声を聴くのではない

宇宙が自分を聴いてくれる

【シンプル瞑想のやり方】自律訓練法とヨガ瞑想|シンプルメディテーションで心を癒し解放する

瞑想をすると 心が落ち着きます

前述のヘッセのシッダールタのように大自然を前に心と魂が語りかけるようなものです

目を閉じて静かに瞬間に集中していくとき

私たちは宇宙の声を聴こうとしがちなのですが

実は宇宙の方が 私たちの声を聴いてくれている 傾聴してくれている

のです

そんなふうに感じて瞑想するとき

これまでとは違う瞑想体験があなたに訪れるでしょう

自分が宇宙の声を聴くのではなく 宇宙が自分の声を聴いているという

受け身の姿勢 ゆだねる姿勢こそが 瞑想の奥義なのです

まとめ

いろいろな癒しがあります

ヒーリング音楽を聴いたり瞑想したり 自然の中に身を置いたり。

そんな中に 今回ご紹介した 深く傾聴してくれる人にひたすら聴いてもらう

というのを付け加えましょう

誰かが 全方位的にあなたの話を聞いてくれるとき

あなたはただ それだけで癒されるのです

そしてそんな風にリラックスして落ち着いたあなたは

安心して充実した人生に向けて歩きはじめることができるのです