自律訓練法の効果を脳の仕組みで考える|ストレス解消を誘引する驚くべき間脳活動

2025年12月24日

イントロダクション
この記事は 自律訓練法を脳科学の観点から解説しています。

しっかり眠っているはずなのに、疲れが抜けない。
特別な理由はないのに、気持ちが落ち着かず、イライラしたり沈んだりする。
そんな状態が続くと、「年齢のせいかな」「気合が足りないのかな」と、
つい自分を責めてしまいがちです。
けれど、その不調は、意志や性格の問題ではないかもしれません。
実はそこには、脳の使われ方そのものに生じた疲労が関係している可能性があります。
私たちの脳では、考え続ける「大脳」と、生命を守る「脳幹(間脳を含む)」が、
常に影響を与え合っています。
現代生活では、大脳が過剰に働き続け、無意識のうちに脳幹へストレスを送り続けてしまう。
この状態が長く続くと、理由のわからない不調として、心と体に現れてくるのです。
自律訓練法は、この悪循環を断ち切るために生まれた、数少ない科学的に確立されたリラクゼーション技法です。
単に気持ちを落ち着かせるのではなく、脳の深い部分――とくに間脳・脳幹の働きに、
意図的に「休息と安全」を届けていきます。
この記事では、自律訓練法がなぜストレス解消に本質的な効果をもたらすのかを、
脳の仕組み、とくに間脳の役割に注目しながら、できるだけやさしく解説していきます。
もし今、「何かがおかしいけれど、説明できない」
そんな感覚を抱えているなら、その答えは、脳の奥深くにあるのかもしれません。
<辻冬馬>

催眠術から生まれた「究極のリラックス法」自律訓練法の歴史

自律訓練法は今から約100年前にドイツのシュルツ博士が編み出したものです
言葉の暗示で体を温かくさせて自律性状態に入る手法です

詳しくはこちらの記事をご覧ください

【体験談で伝える自律訓練法】ストレスを解消して自律神経を整えるために|自律訓練法の仕組みと効果を全部解説

100年ほど前の話です

医師たちは心身症の治療のために深い暗示を与えることが有効だとわかってきました

「もう大丈夫」「心配ない」と患者の心に暗示をかけるために

医師たちは患者に催眠術をかけていました

ところがやがて 暗示の言葉を与えなくても

催眠術にかかることだけで 治癒するとわかったのです

しかし医師が毎日患者を巡回して催眠術をかけるというのはあまりに煩雑で非現実的でした

そこで催眠術にかかったときの体の状態を 患者たちに聞き取りをしたのがシュルツ博士です

その結果 催眠術中には

手足が温かくなり お腹が温かくなり

額が涼しくなり 呼吸が深くて楽になる ということが

わかったのです 

そしてシュルツ博士は 自力でそんな状態になるための手順まとめたのですが

その手順こそが「自律訓練法」なのです

そしてこれは自律神経を癒す方法でもありました

自律訓練法の一般的な効果

自律訓練法の効果

自律訓練法を毎日やるといろんな体の不調までもが治ったりします。

イライラがなくなり 緊張がやわらぎ

自己肯定感が増し 精神的苦痛も薄くなり

静かな深い集中を得られますので

心身症ではない一般の人にとってもとても役立つメソッドです

自律神経は何か特定の症状やテーマに役立つのではなく

自律神経が関係するすべてをもとから癒し変えるのです

 なぜストレスは生まれる?「大脳」と「脳幹」の構造的な関係

下図は筆者の書いた一般的な脳モデルの絵です

視床下部は間脳にある

思考をつかさどる大脳が

生命維持をつかさどる脳幹部を覆っていますね

そして間脳の中に全身の自律神経の束があります

このように

自律神経の束 < 間脳 < 大脳

の順番でおおわれていることが

私たちの人間のストレス状態を作る原因でもあるのです

間脳がポイントです

「自律神経」の中枢は間脳の中の視床下部(上図の緑部分)にあります

全身をくまなく張り巡らしている自律神経が収束する元締めの場所です

なので

自律神経は間脳がコントロールしているとも言えますね

さらに間脳は名前の通り

生命維持に直接かかわる脳幹部と 知性を司る大脳の間にあって 

両者のやりとりを取り持っているのです

そして大脳は生命の維持と安全のため

先を心配する傾向が強く 大脳が未来を心配するとき

その思考内容は脳幹部に来ると

不安や失望やドキドキ感となって ネガティブな感情を無数に生むことになります

その結果として

間脳はいわば大脳から痛めつけられているのです

一番大事なこと

大脳が無数の心配・後悔などのネガティブ情報を間脳に送ると

間脳はそれらを生命の危険と解釈して 命が危険にさらされているという情報を

間脳の自律神経の束から全身へ送ってしまうのです

つまりストレスによる体調不良は

大脳が間脳を痛めつけその情報が自律神経を通して全身に運ばれる結果なのです

間脳から全身へは大きなルートが2つありますから

1.間脳→視床下部→自律神経→全身が不調
2.間脳→延髄→脊髄→全身が不調

間脳経由で二重に全身が不調になるわけです

そして間脳はこうしたキーの位置にいることから

全身の免疫系のホメオスタシスの維持にも深く関与してますので

傷んで来るとそうしたところにも悪影響がでます

自律訓練法の本質は、脳幹に「安全な時間」をプレゼントすること

脳幹部を癒す自律訓練法

自律訓練法はこの負の連鎖を断ち切るメソッドです。

現代生活では非常に長い時間 脳幹部がストレスを受け続けます

そして自律神経を介してそのストレスは全身に運ばれます

結果として体の一番弱いところに何らかの症状が出たりします

原因不明の胃痛とか

原因不明の動悸とか

原因不明の自律神経失調症とか

原因不明のうつ症状とか

になっていくわけです

【効果の核心】大脳を黙らせ、脳幹をポジティブに再起動させる仕組み

そこで間脳に休息を与えないといけません
毎日間脳が大脳から離れてシャワーを浴びると申しましょうか?

自律訓練法により脳幹部を意図的に効果的に休ませることができます 

自律訓練法により いつでも脳幹部を落ち着かせ

大脳からの膨大なストレス情報から脳幹部を守るかのような作用が起こると言えます。 

意識の奥深く、脳幹部全体のリラックス法とも言えます。

そしてリラックスして落ち着きを取り戻した脳幹部は
大脳に向かって今度は肯定的な信号を発進するようになります

生命本来の機能はポジティブで自己肯定感にあふれているので、

休息した間脳はポジティブの権化です

本来の脳は生命維持装置なのでデフォルト状態ではポジティブ一色です

大脳がネガティブに物事をとらえるのはいつも危機があると考えるほうが生存の確率が高いからです

なのステレオタイプ的に言えばこうなります

脳幹部(潜在意識)←ポジティブ

大脳(顕在意識)←ネガティブ

*あくまでわかりやすいモデルとしての考え方です

だから大脳からの情報をシャットアウトすれば人間は自動的にポジティブ反応をするのです

そしてそうなると今度は

その生命本来のエネルギーが大脳に逆流して来るのですね

ネガティブスパイラルだった大脳と間脳が

ポジティブスパイラルにさえ変化できるのです

しかもこれは

本人の意思の努力なしにいつのまにか心が元気になっていくのです。

自律訓練法で日々 間脳を大脳からシャットアウトする習慣を作れば

そうなっていくのです

間脳(脳幹部)リラックスにより意識下にまで及ぶ落ち着き・平和がもたらされ、
意識下から強い自己肯定感が発信される作用が起きると言えるでしょう。 

まとめ

自律訓練法とは、単なるリラックス法ではありません。それは、ストレスを生み出す「大脳」の活動を意図的に鎮め、生命活動の司令塔である「脳幹部」に、意識的に休息という名のシャワーを浴びせる**「脳のメンテナンス技術」**です。

この再生の儀式を日常に取り入れることで、あなたはもう、原因不明の不調に振り回される必要はありません。自分自身の力で、心の奥底から平和と自己肯定感を育むことができるのです。

ぜひ、この科学的なメソッドで、あなた本来の輝きを取り戻してください。