【瞑想上級者編】瞑想の3段階と変性意識の関係|段階ごとに仕組みと特徴を心理学と脳科学で徹底解説

2024年11月8日

瞑想はスピリチュアル的な観点で語られることが多いです
なので 変性意識が人間に及ぼす素晴らしい効果についても
もっぱら 超常現象的なものとして捉えられがちです
ですが 変性意識もその手段としての禅や瞑想も
心理学や脳科学でかなり詳しく解明されて来ています
本記事は下記の論文を参照しながら 瞑想状態や禅状態を3段階に分けて
それぞれ 仕組みを考えていきました

瞑想の根本原理は変性意識状態になること

瞑想の最終段階では 人は変性意識状態になります
その結果起こることがこのスライドです

瞑想の最大の効果

自律訓練法の自律性解放もこの現象の一種かもしれません

【自律性解放】知らぬ間にストレス解消が起こっている|自律訓練法が引き起こす心のホメオスタシス

自分が気づかないうちに

自分の思考や感情の枠組みが 良い方向に変わっているということです

潜在意識は人が生きやすいように総合的に判断していくので

自意識の思考を無視して 勝手に良いように変化させてくれる

変性意識状態にまでなれば そういうことが起こるわけです

これってとてもすごいことです 信じがたい人間のこころの機能です

これについては先にご紹介した以前の記事で徹底解説しています

【心理学でわかりやすく解説】瞑想と変性意識の素晴らしい効果|悟りの境地の脳科学的仕組み

今回はこの記事を受けての

変性意識と瞑想・自律訓練法のかかわり方の話です

変性意識状態とは?

瞑想状態は心理学ではASC変性意識状態と呼ばれる

禅を初めとしてヨーガ,超越的瞑想,気功など宗教的修行としての瞑想法を通じて到達する特異な意識は,心理学では変性意識状態(Altered States of Consciousness, 以下ASCと略称)と総称されている。

しかしその仕組みと特徴を詳しく見て行くと「変性」ではなく

根源的意識状態 の方がふさわしい

TMでは純粋意識と読んでいる

瞑想には3段階ある|それはそのまま変性意識状態の3ステップです

瞑想・自律訓練法の3段階

第1段階.何か一つに集中して回りを忘れる 呼吸法など

第2段階.BSRO外界への気配りが限りなく減少していき 内側の世界が登場する

第3段階.内側の世界のみになっていく

瞑想や自律訓練法によって人間の意識状態はあきらかに変化します

しかしそれは3段階あり

最初の段階では深い集中力の状態であるだけです

それでも日常の集中状態より格段に深いのでそこから瞑想効果が生まれます

瞑想のいろんな効果についてこの3段階をごちゃまぜにして語られることが多く

そのため多くの人が理解不能になったり練習が滞ってしまいます

以下に3つの段階を詳しく解説します

自律訓練法の3段階|基礎から応用そして静寂へ

瞑想から変性意識への第一段階|手足の温感重感マスターの簡易自律性状態

瞑想の第一段階

解説

座禅では雑念,邪念を掃蕩し無我の境地になることへの修 行により,現実からの乖離を目指してゆきます

この段階では,目の前の現実から自分の意識を引き離して、自分の内側に集中するのです

その内側の世界に集中することが第一段階の瞑想です

要するにマインドフルネスですね。

何か特定のものに深く集中して今ここにだけ意識を向けるわけです。

たとえば、呼吸、たとえば雲をじっと見る、たとえば潮の満ち引きのイメージに集中して感情コントロールするなどです 

別の見方をすれば

現実に対応するために人間はいつも周囲に注意を払っていますね、無意識にいろんなことに気をつけています。周囲への注意に膨大なエネルギーを使っているわけです(BSROと言います

瞑想ではこれをやめます

外側に向けていた注意をすべて(できる限り)内側に向けるのです。

そのための手段として呼吸など、注意を向けるものをひとつに絞るのです

だからこの段階では能動的な注意によって内側に集中します

なので自律訓練法でいう受動的注意集中とは その一歩先の話になるのです

現実に対応することをBSROと言います

現実的行動志向(Behavioral System of Reality Orientation)BSRO

これが極限までなくなっていくことで 意識は変わる

BSROを下げる手段のひとつが瞑想

逆にBSROさえ下がれば変性意識状態になります

瞑想から変性意識への第二段階|自律訓練法標準練習を完全マスターの状態

瞑想の第二段階

解説

外側に注意を向けなくなり今ここに集中したマインドフルネス状態が発展して

今ここに 集中している自分というものすら 忘れていく段階です

集中状態=瞑想状態の中で 自我機能を一時的に低下,退 行させます

BSROを一段と下げるのです

脳の中で大脳の知性の活動は自我を作り出します

そして自我の働き 私たちの自意識こそが脳幹部を圧迫して脳幹部本来の作業を邪魔しています

ストレスを感じると胃潰瘍になる というのも大脳の思考が脳幹部を圧迫するから起こります

なので瞑想によって自我の出力を下げていきます BSROを下げると自我が下がります

すると

人間に生得的に内在している自然良能 の生理心理的システム(ホメオスタシス)が

十 全に作動可能なように誘導,もしくは遷移して ゆくことができます

自律訓練法をすると免疫力が向上するというのはこのことを言いますから

第二段階に入って起こることですね

自我は太陽のようなもので

本来星々がいろんな保全活動(癒し 回復 メンタルや内臓などの手当て)をしているのですが

自我の太陽が強すぎるといつも星が隠れたままです

自我の太陽が沈むと星々は自然に空いっぱいに広がるのです

脳のモデル

大脳の活動から解放されると間脳は星々を見る のです

この種の感動的な体験は Maslow(1962)が指摘しているように

至高の 体験であり,

人格の成長を促すような性質も っている。

臨床場面での事例

臨床場面ではある種の現実の 葛藤が存在する場合,

その「とらわれ」から自 我を解放するために,自我の一時的弱体化を図 り,

ホメオスタシスにより,より望ましい形に 「再体制化」することである。

坐禅では,一層 の瞑想の修行により,自己を一段と純化させ, 無になりきることで世界との一体化を求めてゆ く,いわゆる静慮の状態である。

日々 自我の太陽を沈めていけば 日々満天の星空が散りばめられ

星々は最適な配置に再体制化されていくのです

瞑想から変性意識への第三(最終)段階|自律性状態のまま30分、1時間と推移するときの感覚で自律訓練法黙想練習の境地

瞑想の第三段階

解説

第一段階を深めると第二段階に入り

この第三段階も第二段階を深めることで入ることができます

ちなみにこれをさらに深め続けた状態が悟りの境地だと個人的には考えています

自我を日々意識の地平に沈めることができるようになると

限りなく自我セロに近い状態でずっと瞑想をすることができます

自我ゼロということは もはや植物のように自分の生理内で存在しているだけですね

外界への注意はゼロ、そこに使うエネルギーもゼロ

はたから見れば仮死状態のようなものです

完全に自我が消えたままになると 生理的には自律系の神経だけが作動しています

精神的には脳幹部からの星々だけが光ります

専門的な解説

一般 の 変性意識状態の体験では意識の深化が一層進行し,極 端な場合,知覚,感覚の閾値の限界近くまで深 化し,自律系の機能のみが作動しているような 状況である。

このような意識を根源的意 識状態とよび,その認知構造モデルを提起した。

このような意識状態に到達する ためには

①現実吟味力がほぼ完全に放棄され,(自我の出力がゼロ)

②宇 宙の偉大なる存在に自らの命を「おまかせ」し たような,自己超越的体験が生起するような段 階である。(自我の出力がゼロになったときは星々にすべてまかせようと感じる)

ヨガや坐禅の瞑想修行では,自己を含む全てが 消滅し,宇宙の真実のみが存在し,そのとき真 の自己が徹見できる状態である。

第三段階までいくとこうなる|第二段階の途中から起こります

変性意識が生み出す感覚

そして派生感覚が瞑想のゴールとなるのです

自我は解体されて潜在意識が理想の自我を再構築してくれます

変性意識が人間にもたらすもの

詳しくはこちらに書いています

自分を天才にする変性意識状態とは何か?|瞑想と自律訓練法が起こす脳の不思議なパワーと効果

まとめ

瞑想は師から弟子に感覚的に伝えられるものでした

自律訓練法はマスターのための練習手順が明確ではありますが

そもそもどんな原理のもとそういうことが起こっているかははっきりしません

今回は立命館大の斎藤さんの研究論文を私なりに解釈することで

瞑想や自律訓練法の根本原理を考えてみました

この素晴らしい自律性状態に入ると 人生はがらりと変わります