【メントールの語源】ギリシャ神話に登場する<メンター>と<コーチ>|アテナイ女神はテーレマコスとオデュッセウスにコーチングを施した

今回はギリシャ神話の物語を たとえ話に使って
潜在意識とそれを利用したセラピーやコーチングについて
楽しくご紹介していきます

メンターについて詳しく書いた記事はこちら
【人生のメンターをプライベートにつけよう】あなたの人生に自分だけのメンターをつけよう|ひとりで頑張る必要は全然ない

ホメロスが歌うオデュッセイアは愛読書のひとつです

古代ギリシャの叙事詩オデュッセイアを知っていますか?

私はYouTubeで文学チャンネルもやっているので 

ホメロスが歌ったと言われるこの 12000行の叙事詩は愛読書のひとつです 

もちろん 翻訳でしか読めませんけども・・・・

ギリシャ語で オデュッセウスの歌が オデュッセイアになるのだとか。

オデュッセイアの物語はこんなストーリー

とても簡単に物語の全容を説明すると

トロイア戦争が終わって ギリシャの将軍のひとりオデュッセウスは

10年もの間 故郷に帰りつけず 数々の苦難に遭遇しました

物語の始まった時点では

カリュプソーという女神と絶海の孤島で暮らすことを余儀なくされていました

父オデュッセウスが出陣したとき まだ子供だった息子テーレマコスは

王である父なき館に多くの男たちが 日ごとやってきて

財産を浪費し あらんことか母ペーネロペイアにいい寄ってくるありさまに強く憤り

父を探す旅に出ることを決意します

ここから物語が始まります

そして物語は親子の数々の試練 思い出話 作り話 

知恵と武勇が錯綜し 映画のようにスペクタルに展開していき 

最後はオデュッセウスとテーレマコスは故郷に無事戻り

財産を食いつぶす悪役たちを追い払ってめでたしめでたし

こんな流れで超絶に面白いのです

ちなみに あのジブリの映画 風の谷のナウシカ のナウシカという名前は

この物語に由来します

ナウシカアは絶体絶命のオデュッセウスを助ける姫の名前です

メンターの語源ともなったメントールに化ける女神アテナイ

今回のこの動画では 

オデュッセイアの長い物語の中に

随所に登場して 若者テーレマコスを支えたコーチのような メンターのような存在についてご紹介したいと思います

主人公オデュッセウスの息子テーレマコスは、まだ10代の青年です

彼ひとりで

試練と苦難に満ちた父親捜しの旅をまっとうすることはできない

そう考えたオリュンポスの神のひとり 女神アテナイは 

あの手この手でテーレマコスをサポートします

もっとも そもそもの話としては

父なき館の無法状態を嘆くテーレマコスに

父親を探しに行くよう アイデアを吹き込んだのもアテナイ女神でした

このあたりの事情を現代風に言えば

テーレマコスは「家の混乱をおさめて 平和を取り戻したい」

という願望を持っていました

そこでコーチ アテナイ女神は

その問題解決の最適解は 「父の帰還」であると アドバイスします

そしてテーレマコスに

「父親を探して連れて帰る」という具体的な目標設定を促したのです

ところで

女神アテナイは

直接女神としてテーレマコスの前に登場することはありません

物語を読んでいると あるときは夢に登場し

在るときは 人の姿に化ける、あるときは鷲に化ける などなど

千変万化して 肝心なときに とても大切なアドバイスや

考えるきっかけを与えるのです

このあたりを読んでいると私には これらはみな 

潜在意識との対話のように感じられて好きなのです

潜在意識の話をしていると思った箇所はここ

一番印象に残る女神アテナイの登場の仕方は

ひとりの人物への変身です

テーレマコスの旅には 彼を 教え諭し 知恵をさずけ サポートするメントールという人物が何度も登場するのです

たとえば

テーレマコスは旅の最初に 父と共にトロイア戦争を戦った偉大な王の館に行きます

そこで父の消息を尋ねようとするのですが この時 ものすごく気後れします 

自分のような若造が偉大なあの王に突然会うなどどうしたものか?

そもそもどんなふうに何と言って挨拶したらいいかもわからない

と ものおじするのですが 

アテナイ女神が扮するメントールはこんなことを言って励まします

以下辻の異訳です

「お前が考えるお前という人間は

たいしたことがないかもしれない

挨拶の仕方すら知らないかもしれない

だが お前という人間について私たち神々が考える時 

すでに おまえはたいしたものなんだよ

挨拶だろうとなんだろうと 神々がいくらでも教えてくれるから大丈夫

お前自身は人間としての人生経験が少ない若者であっても 

すでに神々の知恵であふれているのだよ

だから 堂々と偉大な王に会いなさい」

この言葉にテーレマコスは力を得て偉大な王の館の門をくぐります

そして見事 父オデュッセウスについて一定の情報を得ることに成功します

この言葉は現代風にいうと

「あなたが自覚するあなたは大したことはないかもしれない

でも あなたの潜在意識はあなたを超えて普遍的価値を持つ素晴らしい存在です

だから 潜在意識をも含むあなたという存在はすでに素晴らしいんですよ」

そして

「父親を探して連れて帰る」という具体的な目標の

中間ステップを見事達成クリアしたと言えるのです

アイデアや行動指針は受け取るけどあくまで自力で考え自力で行動する神話の登場人物

とにかくテーレマコスはこんな感じで

メントールの知恵を 肝心なところで 借りています

借りるのは知恵 つまりアイデアだけで 行動するのは自力でがんばっています

そこが長く好まれる原因でもあるでしょう

全部神様がやってくれたら 人は家で寝てたらいいですからね(笑)

ちなみに このメントールという人物の名前こそが

現在使われれている「メンター」の語源です:どちらも表記はmentorです

企業では新入社員研修にメンター制度を取り入れることが多くなっていますね

そして前述したように

実はこのメントールは女神アテナイが変身した姿。

アテナイ女神は ダイレクトにテーレマコスを助けることはありません

神である自分の姿を見せたり 直接敵を倒したり 道を切り開いてはくれないんです

あそこに行けば何かがわかるから言って尋ねなさい

とか

ここは 隠れていなさい 

その後はタイミングを見計らって逃げなさい

とか

行動指針は教えるけど 具体的なことは本人が考え行動する

そういうことしか言わないのです

これっていうのは

魚を与えると1日分の食事に役立ち

魚の取り方を教えると一生の食事に役立つというのと似てますね

まさにコーチングの原理のひとつです

しかも魚の取り方も自分で考えて自分で気づくようにします

そうすると忘れないからです

方向性は教えるけど 具体的なことはテーレマコス本人が考え

行動する時も彼ひとり

たまに怖気ついたりすると

大丈夫 私が守っていると囁いたりするので

テーレマコスは勇気を取り戻します

神々は直接なにかしてはくれない 

でもアイデアを思い浮かべる助けをくれて 

勇気とエネルギーをくれて 

リーダーシップを発揮して心の中の 空気感を変えます

あくまで人間に語りかけて その人の心を鼓舞するのであって 

それを元に考え実行するのはその人であるという風になっています

メントール メンターとテーレマコスには

明確な役割分担があるのです

これは まさにコーチングであり アテナイ女神とテーレマコスは

コーチとクライアントの関係にそっくりなのです

コーチングとメンタリングの原理

私のセラピーとコーチングのイメージは

こんな風景になっています

私は潜在意識の使い方についての知識を

みなさんのために使う

使い方の実践法もお伝えする

私はいわばメントールです

そして私はあなたの中の

潜在意識の知恵を 喚起し鼓舞し

最良のあなたを あなたの中から 引出すのです

テーレマコスが

「家の混乱をおさめて 平和を取り戻したい」という願望を持っていたように

あなたも何か願望を持っていると思います

そしてあなたの願望をかなえるための最適解があるはずです

それはテーレマコスにメンターアテナイ女神が

家の混乱という問題解決の最適解は 父の帰還であると アドバイスしたように

さがせば 見つかるはずなのです

さらにテーレマコスがメンターのアテナイ女神に促されて見つけた

「父親を探して連れて帰る」という具体的目標にそって行動したように

あなたも

具体的目標をかかげ行動していくことが

素晴らしい人生へのひとつの道であることに間違いはないのです